石油元売のハイオクバーター問題から思う出光興産と合併した旧昭和シェルのvパワーの今後の取り扱いについて

ハイオクバーター問題とは
つい一ヶ月前くらいにハイオクバーター問題というものがありました。
要は、石油元売各社が協力して燃料の配送効率化のために各地に点在する製油所・油槽所を共有し近隣のSSにはマーク関係なく燃料を配達したことが原因で起きた問題です。
つまりエネオスだろうが出光だろうが、同じ精製された燃料が各SSに供給されてたわけです。
で、一部の元売は「うちのハイオクは他社のハイオクに比べて〜」的な事を謳っていたにも関わらず結局バーターだったので「嘘ついてんじゃねーよ!」って事で問題化しました。
あとそこのトップが「品質に差はないので問題ない」みたいな発言して、そーゆー問題じゃないだろ!!って総ツッコミ食らってた記憶があります。
なぜバーターすることになったのか
このバーターによる燃料配達に至る経緯として
ハイブリッドや電気自動車などの技術革新によって国内のガソリン消費量が年々減少していることは皆さんご存知だと思います。
その中で元売がそれぞれ独自で製油所を管理し、精製し、そこから各地に存在する油槽所やガソリンスタンドに配達するのではなくバーターしてマーク関係なしに近隣SSに供給することでコスト含め効率化を図るのは当然といったら当然です。
それこそ効率化がされていなかったら、そこにかかるコストは燃料価格に転嫁されるので、結果として店頭での販売価格は上がります。
なので、今回のバーター問題は別に消費者を裏切ろうとして裏切ったワケではないことだけ理解していてほしいと思います。
バーターとは無関係の旧昭和シェルの“V-Power”とはどんなハイオクなのか?
【vPowerの特徴】
Shell V-Powerはシェルの60年以上に及ぶフェラーリとのテクニカルパートナーシップの下、F1レースで磨かれた技術や知見を応用した商品です。独自のクリーン&プロテクト・テクノロジーTMにより、エンジン内部における汚れ(付着物)を洗浄し、吸気バルブなどの重要なエンジンパーツを汚れや錆から保護する清浄剤が使用されていることが特徴です。Shell V-Powerを継続使用することで、汚れの堆積を防ぎ、エンジン本来の性能を発揮させ、車を長持ちさせることができます。
【他社ハイオク燃料との違い】
Shell V-Powerは独自の清浄剤により、エンジン内を洗浄し保護する機能がきわめて優れています。また品質をしっかりとコントロールし、タンクローリーで特別配送しています。
【エンジンに良い?】
エンジンを動かしていると、ガソリンやエンジンオイルの燃え残りが付着・堆積して、エンジン内部が汚れていきます。燃料インジェクターや吸気バルブなどのエンジンの重要なパーツに付着物が堆積すると燃焼状態に影響を与え、出力・加速性能・レスポンス・低温時の始動性といったエンジン性能の低下を招く可能性があります。Shell V-Powerは、その付着物を除去し、キレイな状態を維持することで、エンジン本来の性能を回復・発揮させます。
またエンジン内部に堆積した汚れ(付着物)によって燃費が低下している場合、Shell V-Powerの洗浄性能によって燃費回復が期待されます。
他にもガソリンや空気の流れを阻害することで、加速性能の低下に寄与すると考えられるエンジン内部の汚れ(付着物)をShell V-Powerを使用することで除去することができます。その後も汚れが付着しないようにエンジン内部の重要なパーツを保護するので、クルマ本来の加速性能を発揮させます。
上記の説明は全てこちらから引用しています。
そんなV-Powerに対して出光の販売店として思う2つの事
その1. なんでV-Powerは他店と同額で販売できるの?
V-Powerなんですが、今回のバーター問題に関しても「V-Powerは独自の配送ルートでSSなどの拠点に供給しているため、バーター取引はしていません」という見解を出光興産株式会社は発表しています。
出光昭和シェルSSのV-Power(ハイオク)は、離島など一部を除いてタンクの共有やバーター販売はないという(出光興産広報部)。シェル石油は1980年代から、エンジン内洗浄効果(カーボン除去)や燃焼効率アップを実現する高付加価値ハイオクを手掛けている。シェルは昭和シェルを経て出光興産グループに再編されているが、当時からの品質管理・商品コンセプトを維持していることになる。
ってことは、配送効率化のためのバーターでなく独自の配送ルートを優先するわけだから
V-Powerを精製できる製油所は限られている(国内)
= 旧出光系の製油所では不可能
※もちろんエネオス系でも不可能
つまり配送の効率化は図られていない。
⇨ 輸送コストは通常よりかかる(近隣に製油所・油槽所がない場合)
⇨ それを転嫁するには販売価格しかない
※もしくは販売店が負担しているか..
⇨ でも店頭価格は出光やENEOSと同等、またはそれ以下で販売できている。
⇨ えっ!?じゃあ誰がその差額分の輸送費を補填してるんだろう?
教えて、偉い人!!!!
っていうのが一つ目の問題です。
その2.合併後は出光系列の特約店にもV-Powerを供給することは可能なのか?
その1で書いたように気になるのは
- 輸送費などの上乗せはないのか?
です。
もし輸送費などのコストを自社負担することなく、出光系列にもV-Powerを供給してもらえるなら是非供給してほしいです。なぜなら
燃料の差別化ができるから!!!!!
バーターが主流になった今、ガソリンスタンドのメイン商材である燃料は差別化が難しくなりました。だってどのマークにも同じ品質の燃料が供給されているわけですからね。
もちろんガソリンスタンドの立地やサービス形態(フル・セルフ)、洗車、コーティング、オイル交換やタイヤ交換など差別化できるポイントはあるんですが、やはり
メイン商材で差別化できる!!
っていうのは強いわけです。
周辺のガソリンスタンドにも同じ燃料が供給されていて、同じような店舗条件なら差別化でやることは1つ
安売り
でも、これって結局自分の首を締めることになるんです。だってその分、燃料による収益が圧縮されるわけですからね。
ただ、もし合併後の出光系列にもV-Powerが供給できるなら話が違います。
V-powerという他社より高品質なハイオクをENEOS系列と同額で販売できることはハイオク車を必要とするベンツやBMW、アウディなどの外車などに乗っているお客様もそのメリットを享受できると思うし、そう思いたい。
最後に
今回のバーターの件もそうですが、私たちに言わせると「何を今更…」って感じが強いんですが、やはりその感覚が間違っているんだなーと再認識した次第です。「業界の常識、社会の非常識」のように同じ業界で限られた元売りと販売店の中で何十年も同じような人がグルグル回っていると、どうしてもその業界に新たな風は吹きにくいなぁと感じた次第です。
【追記】
2020年11月24日に発表された出光の新ブランド“アポロステーション”などについて今後どうなるのか、考察含めたブログを書きましたのでこちらもどうぞ!

今関商会

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この投稿へのコメント
お世話になっております。
トヨタ86(現行)に乗っております。
いつもシェル石油Vパワーのみ給油させて頂いています。
いつも行くスタンドで、来年の3月で、V パワーの生産が、終了するかもとの、情報を得ました。
Vパワーと同等の製品は残るのでしょうか⁉
現段階では出光系の弊社では、そのような情報は耳にしておりません。“いつも行くスタンド”はシェル系だと思われるので、彼らにはすでになんらかの通達はあるのかも知れませんがオフィシャルに発表がない場合はあくまでも噂程度と考えていて宜しいのではないかと思います。また同等品ですが、実際のところ各製油所の精製能力に体感できるほどの性能差があるとは思えず、専門的なデータ上の違いだと思っております。また各社マーケティングやブランディングの得手不得手がありますので、品質以上の差はそこで発生しており、Vパワーへの信頼度は旧シェル系のマーケティングとブランディングの賜物であると思います。
私のまわりの車好きの間では、シェルのハイオクは性能が良く、燃費が少し悪いということが以前より半ば常識のように語られていて、今回の騒動でこれが裏付けられたと感じています。
エンジンをプロにセッティングしてもらった際に、ガソリンをシェルのハイオクで指定された知人もいます。
私自身も普段より極力シェルで給油するようにしており、V-Powerが廃止になるのはかなりの痛手です。マイナーな趣味になりつつあるのかも知れませんが、車好きには逆風です。。。
今、関東で思い切りバーターしてるのは出光だけだと思いますよ。
出光がバーターしているのは、関東でいうなら製油所が市原、油槽所が若洲にしかないからで、多分今関商会さんの油は出光ではなく、エネオスの根岸もしくはシェルの東亜石油@川崎あたりから来ているはず。
もし東亜石油から来ているのならお宅のハイオクは、ハイオクとして出荷されていてもそれはV-powerが出荷されていますよ。
対してシェルは東京湾の東西に製油所(川崎・東亜石油、市原・富士石油)があり関東の全域に供給できているから。
正直、客観的に見て出光は元売りとして真面目にやる気無いだろ、と思いますね。
コメントありがとうございます!
たぶん今は根岸から出てるとおもいます。
先月の出光による東亜興産TOBで何か変わるのか期待している部分もあります。