OPECプラスの減産合意決裂。サウジの増産で原油暴落、それを追随する他産油国の動向
減産合意できなかったOPECプラス
まずOPECプラスって何?って説明をすると、これまでOPEC(石油輸出国機構)に加盟している中東の国家がマーケットへの流入量を調整することで原油価格の上げ下げを調整してたんですが、これまで非加盟国だったロシアなども参加したことで従来のOPECからOPECプラスに名称が変わりました。
いやロシアも非加盟国じゃなくてOPECに加盟すれば別にいちいち“プラス”つけないで従来通りのOPECの名称でいけるのに面倒くせぇ
で、このOPECプラスはこれまで減産合意していて原油価格を操作していたわけです。
そこに今回の新型コロナウイルスの影響。石油消費第一位の中国から発生したこの疫病はすでに成長ピークを過ぎて鈍化していた中国経済をさらに悪化させました。
ここ数年、成長率が低下してる、中国バブルが弾ける、実際の経済成長率と政府が報告している経済成長率に乖離があるハリボテ経済だ!なーんて言われてた中国経済にとっては本当に大打撃。
痛恨の一撃
なわけです。
で、中国国内の経済が止まって物資の輸送など含めたほぼすべての経済活動にブレーキがかかったため、これまで以上に原油を輸入する必要がなくなったわけです。
そうすると、これまで消費していた国に輸出するはずだった分の原油が余剰となって結果、市場における原油価格が下落するという流れになりました。
これじゃヤバい!となったので、サウジアラビアが中心となってOPECプラスの会合を開き急遽今まで以上に減産しよ!!って減産合意にこぎつけようとしたら、ロシアが
「いやそんな影響でないだろうし、これ以上減産しすぎてアメリカのシェールガス企業に市場シェア奪われるのは困るから無理!ってかOPECプラスの枠には入ったけどウチの経営とか生産に文句つけてくんな!」
って言いだして決裂し、OPECプラスの会合は物別れに終わりました。
そこでまさかのサウジアラビアが増産体制へ
これまでイラクが減産率を順守しないとか、減産合意したくせに実は裏でこっそり増産して石油収入を増やしていた国などに鬱憤が溜まっていたサウジアラビアがここで
「ウチも増産だぁー!!!!」
って堪忍袋の緒が切れたわけです。
あれ、増産したら原油価格は下がるんだからサウジアラビアにとって不利じゃない?
※サウジアラビアとしては国内の原油に依存した社会構造を打破する経済改革を進めるうえ、上場させた国営石油会社サウジアラムコの株価対策のためにも原油価格の下支えが不可欠になっていた。そのためサウジは減産強化に躍起になっていた。
って思うんですが、もうね止められないんですよ。
この人、以前もでてきたんですけどサウジアラビアの皇太子です。
名前が
محمد بن سلمان بن عبد العزيز آل سعود!!
ムハンマド・ビン・サルマーン・アール=サウード
と読みます。結構な強硬派です。
あのジャーナリスト殺害の首謀者とか色々言われてますけどね、実行犯はみんな処刑されたので真意のほどは不明ですが…..。あと他の王位継承者とかを色々と逮捕して権力を掌握しようとしています。
そんなサウジアラビアがなぜこのタイミングで増産に踏み切ったかというと
地方の商店街を衰退させたイ〇ンとかみたいに、まずは競合国の体力を削って原油市場のシェア拡大に方向転換したわけです。
その増産量は260万バレル/日
OPECプラスで減産しようとしていた量が170万バレル/日なので、太刀打ちできる量ではないくらいの増産なわけです。これじゃいくらOPECプラスが減産しても、それを上回る増産で市場に流入していくので原油安は止められません。
これは原油輸出による収入に依存している国にとっては原油価格の暴落は国の収益低下に直結して最悪の場合は経済破綻する可能性もあるわけです。ロシアだって原油価格の値下がりで、原油収入への依存度が高いロシアの通貨ルーブルはこの2週間で20%以上も急落しました。通貨安が物価上昇を引き起こし、家計に深刻な打撃を与える、負の連鎖が始まりつつあります。
もうねサウジアラビアとロシアのナイフエッジデスマッチなんですよ。
ただ、ここでロシアは冷静に状況を俯瞰しています。読んだ記事よれば
原油安が続けば、サウジアラビアは2年半で外貨準備が尽き、アメリカでは今年中に石油会社の倒産が始まるというのが、ロシアの目論見だ。新型コロナウイルスで原油価格が落ち込む今こそライバルに最大の打撃を与え、ロシアが偉大なエネルギー大国だと世界に誇示したいのだ
ロシアはこんな事を思っているわけなんですね。
そしてこの下図はサウジアラビアが増産に転換したことに対する主な産油国の対応です。
みんな増産。
そしてアメリカがその影響をモロに食らっている感じですね。
でも思い出してください、アメリカとサウジアラビアは友好関係にあるはずなんです。ただ今回の件でトランプさんは何かしらの経済対策を打つとは思うんですが、それもこの新型コロナウイルスがもう少し沈静化しないと効果は薄いと思います。
現在の状況としてヨーロッパやアメリカなどは外出禁止など経済が停滞している状態なので、そう簡単にこの状況が好転するとは思えないので原油安のこの状況はまだ当分続くと思われます。
GWの新幹線も通常より本数を減らすみたいですし。その分、車での移動なんかが増えたら私たちとしては嬉しいんですが…今回は経済危機というより疫病なので帰省を自粛する可能性も高いと考えると少し憂鬱になりそうです。
今関商会
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