2019年11月29日

JXTGがENEOSに商号を変更する事から感じた3点と出光昭和シェルに思う事

NHKのニュース記事からそのまま拝借してきましたが

石油元売り最大手のJXTGホールディングスは、ガソリンスタンドのブランドに合わせて、会社名を「ENEOSホールディングス」に変更することになりました。

JXTGホールディングスは、おととし「JXホールディングス」と「東燃ゼネラル石油」が経営統合して発足した石油元売りの最大手です。

東燃ゼネラルが展開していた「エッソ」や「モービル」などのガソリンスタンドを、ことし6月までにJXの「ENEOS」に統一していて、会社名もブランドと同じにすることになりました。

来年6月に予定している株主総会での承認を経て、正式に会社名を変更することにしています。

これについて会社では「今後、さまざまな新規事業に進出していく上で、消費者になじみがあるブランド名を使っていくほうがよいと判断した」と話しています。

とのこと。

このニュースを聞いて感じたことが3つ。

  1. 東燃ゼネラルを吸収したJX側の巧者ぶり
  2. JXグループの“ブランド力構築への意識の高さ”
  3. 消費者へのスムーズなアプローチ

これについてツラツラ書いていこうと思います。

1.東燃ゼネラルを吸収したJX側の巧者ぶり

 

これは本当にまざまざと見せつけられている感じがします。

出光と昭和シェルが出光創業家との確執で合併が膠着している中、出し抜くかのようにスムーズに合併(内情は全然スムーズじゃなかったんだろうけど、それを感じさせなかった点)して、JXTGホールディングスになり、その勢いそのまま全国の旧東燃ゼネラル系はENEOSJetという新たな冠名をつけたガソリンスタンドに生まれ変わりました。

これまであったEssoやMobil、ゼネラルの跡形もなく、全てエネオスジェットに変わり残ったのは旧東燃系の青色でデザインされた”EneJet”の文字のみ。

そして看板から見てもわかるように、ENEOSの下にEnejetの文字。

「どっちが上なのか、言わなくてもわかるだろ」と言わんばかりの構図に私には見えます。

それを気遣ってか、キャノピーの部分は青の横文字で“ENEOS Enejet”って書いてありますけどね。

この旧東燃ゼネラル系の色をほぼ残させないという点にJXの試合巧者ぶりを感じます。

そして、今回の商号変更。

商号に残っていた“TG”という東燃を指す文字すら今回の変更で跡形もなくなくなり、そして新たな商号は“ENEOSホールディングス”

完璧にENEOSの軍門に下ったと考えていいでしょう。

でも、これは良い意味で思い切った変更だったと思います。

ENEOSとENEjetと棲み分けはあるものの、ガソリンスタンドという現場レベルでの意識の統合を目指し、元売り側はENEOSとして統一させることで、そこで働く従業員の意識に連帯感をもたせ、俺はJX閥、俺はTG閥という意識を少しでも払拭させようとしている気がします。

現場レベルでは弊社のように特約店という形で運営しているお店が多い分、旧JX、旧TGというのを完全に一つに統一することは難しいので棲み分けが必要だと思いますが、元売りはもう一緒に机を並べて仕事しているわけで組織体制として一つの会社として統一しなければいけないわけですからね。

多少強引に感じるところはありますが、これくらい強引じゃないと多分様々な事がスムーズにいかないんでしょうね。やはりこれまで何度も合併を繰り返してきたJXの試合巧者ぶりを改めて感じました。

2. JXグループの“ブランド力構築への意識の高さ”

さきほど話した#1と若干被る部分もありますが、やはりブランド力というモノの価値をよく理解しているというか、これが業界No.1か!!と思わされる事が多々あるわけです。

東京オリンピックの公式スポンサーとか色々ありますが、やはりなんといってもCM。

今はオリンピックを題材としたCMになっていて、「すべての人々に熱いエネルギーを届けたい」という想いを込めた「ENERGY for ALL」というコンセプトも基づいた作品になっています。石油元売り会社なのに、オイルとか燃料という言葉でなくエネルギーという言葉に変えて、提供しているのは物質的なエネルギーだけじゃないんですよ!!っていうのをちゃんと前面に押し出せていると思います。

そして、このCMが流れている番組が絶妙!!

だいたい観たことあるよね。で、その時間帯って他にみたい番組特にないんだよね。なんとなく幅広い層がみてくれる番組で時間帯も夜19時~23時くらいまでっていうね。バラエティなんだけど、ゲスい感じがしないクリーンな感じのバラエティが多いなって感じします。

もちろんその分の広告費もかなり払っているとは思うんですが、その広告費に見合うだけのCMを効率よく効果的にしてるなーとおもうわけです。

CMに関しては、前にも書いたことあるので割愛しますが

※ちょっと2016年に書いた内容だから著作権含め見ることできないCMが多いですが許してください。

ちゃんと“広告”を理解してるな!って思う事ばかりです。キャストのチョイスだったり、ディズニー貸し切り!!みたいなのだって放映されてる時間帯と合わせてみてもマッチしてるわけです。日曜19時~20時なんて家族で夕食とったりしている時間な可能性が高いわけで。そこで幅広い層が一緒に見れるテレビ番組で、一緒に付き合わされて見ている子供に一番刺さるディズニー。完璧すぎる!

で、ドリカムっていう50歳以上に万能に刺ささるチョイスと、吉田羊っていうオジサンキラーなチョイス、そして中高生に刺さる上白石萌歌のチョイス。

上白石萌歌さんはともかく、ドリカムと吉田羊さんが好きな層はだいたい車持ってるから!!

別れ際に絶対にブレーキ五回踏んでるから!!

こういうところにも妙味を感じます。

だって、あのCM見て「このCMが映ったらチャンネル変える!!」ってならないもん。ちゃんとおさえてるなーと思います。

で、ちゃんと嫌悪感抱かないからENEOS自体にも嫌悪感なんて抱くわけないんですよ。

あのCMを観て、心に響く!!とかはないけど、「へー」とは思うわけです。

それだけで十分で、それでENEOSのガソリンスタンドにくるちょっとしたキッカケになればもう勝ちなわけです。

あとね、出光興産も珍しく女優さん(長澤まさみさん)を起用したんですけどね、なんとなくですよ、なんとなくなんですけどKUBOTAのCMほうのがインパクト含めてあって、長澤まさみ=KUBOTAみたいな感じあるから、なんかちょっと他にいないのかなとか、ENEOSやコスモが女優さんでいくなら俳優さんとかね、、なんかちょっと違う角度から攻めたりしたほうがいいんじゃないかなって思ったりするわけです。

そして個人的にはこっちのほうが羨ましい。

ガンダム!!そしてEneKey。

この決済ツールはウチも欲しい。ってか早く出してほしい。

ちゃんとね、旧TG系の良いところは抽出してるんです。エンジンオイルだって今はサスティナもMobil1も取り扱ってるみたいだし。

ちゃんと吸収するところは吸収して、良いトコは活かしてっていうのができてるなーと外野は思います。

こうやって飲み込むんだけど、相乗効果が見込めるところはしっかり残す事で上手くバランスとってるなーと感心します。

3. 消費者へのスムーズなアプローチ

これはもうこれまで書いてきた事、ブランド名の統一とかそういう事です。

商号変更でENEOSっていう会社がやってるENEOSとEnejetになって理解しやすくなって、エンジンオイルはSustinaかモービル1。

このモービル1に関しては統一してサスティナに併合するより、知名度が抜群なので残して正解だと思います。

消費者側で言えば、エンジンオイルの名前より5w-20とかの規格で覚えたほうが楽なんじゃないですかね?違うんですかね?もう業界長いと“普通”がよくわからなくなります。ちなみに出光はエコメダリストやツーリングなど規格によってそれぞれ名前があります。

あとはさっきはCMの話でしたけど、ちゃんとラジオCMも福山雅治さんのラジオやドリカム中村さんのラジオも提供してます。おさえるとこ、ちゃんとおさえてるなー、本当に。ラジオは家や職場で聴く人と同じくらい営業とかの車内で聴いてる人が一定数いると思うので少なからず効果はあるかと思います。

あとは他業種との提携ですね。こればかりは相手ありきの話なので難しいですがTポイントだったり、楽天だったり認知度・ユーザー数ともにかなりのボリュームがあるでしょうから、そこに間接的にでもアプローチできるのは羨ましいですね。もちろん業界No.1はそういう提携もスムーズにいきやすいと思いますし。

そういった集客だったり、他業種が開拓した顧客の共有などは一販売店が独自で行うのは不可能に近いのでENEOS系の販売店さん・特約店さんは羨ましいです。

最後に

やはり合併を繰り返してきて、業界No.1なENEOSはすごいなーと外から見ても思うわけです。

で、じゃあ同じ業界のNo.2にいる出光昭和シェルはそんな巨人にどう挑んでいくのか。どうやって差別化してくのかとか考えないといけないと思うんですよね。

個々の販売店でできることなんてたかがしれていて、もちろん試行錯誤はして販売店独自でやってるトコもあるんですけどね。でもどうしてもスケールで敵わない。

出光の良い点、悪い点、昭和シェルの良い点、悪い点。良い点はどうしたら更に伸ばせるのか、悪い点はどうやれば少しでも消せるか、もしかしたら昭和シェルの良いところを活かせば消せるのかもしれないし。そういう相乗効果を僕らは期待しているわけで。

いっそ出光という名前も昭和シェルという名前すらもない全く新しい名前でもいいんじゃないかとすら思ってしまう、対等合併ならね(笑)もしくは出光としてではなく“IDEMITSU”として生まれ変わるか。

なににせよ、二つの会社が一つになって企業文化だとか色んなものの融合が難しいのはわかっているけど、そこでモタモタしている間に巨人は何歩も先に進んでいくわけで「二位じゃダメなんですか」って聞かれたら、「駄目じゃないけど、そこに甘んじている姿勢はよくないと思いますよ」と答えますね。

そんな出光昭和シェルが楽天と協力してキャンペーンをやってます。

これ、もっと告知してほしいですね。

CMも“だったら、こうしよう”……うん、具体的にいうと何!!ってなるから、“だったから、こうしました”バージョンも作ってほしい。で、こうしたから、こうなりました!っていうシリーズものでいいし。

まだまだ業界No.1になるには厳しいですが、まずは会社として、各拠点が地域No.1になれるようこれからも頑張っていきたいと思います。

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今関商会

1952年創業の今関商会の三代目。 大学卒業後、出光興産(株)の東海支店にてガソリンスタンドの現場から販売促進課、工業用潤滑油課、販売店担当などを経て退社。 2013年より、実家である(株)今関商会に入社。 趣味はNFL鑑賞と筋トレ 2児の父でもあります。 会社ではSS現場やブログ、Facebook、instagram等、SNSの更新も行っています。

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